ビルトインコンロ最前線

今回は、システムキッチンのメイン機能のひとつ、ビルトインコンロについてお伝えします。

最新のビルトインコンロ事情に加え、新しくシステムキッチンを購入されたお客様とのエピソードや、実際のお客様からの反応などをご紹介させていただきながら、盛りだくさんでお伝えしていきます。

どうぞ最後までおつき合いください。

 

改めてキッチンコンロ

ホームセンターや家電量販店などで目にすることが多いです。
ビルトインコンロのことをお伝えする前に、まずは家庭用キッチンコンロについてのおさらいをしておきたいと思います。

家庭用のキッチンコンロをカテゴリで分類すると、設置方式と熱源、大きくこの2つに分類することができます。

設置方式のカテゴリには、 据え置き型とビルトイン型、この2つが含まれます。
熱源のカテゴリには、ガスとIHが含まれます。

設置方式のカテゴリに含まれる据え置き型のコンロは、「台所」をイメージしていただくと、分かりやすいかもしれません。
流し台より一段低くなったスペースに、後からコンロを設置するというものです。
据え置き型のコンロは、上の写真のようにホームセンターや家電量販店などで、単体で売られています。
そのため、自分で設置したり、交換できるのが特徴です。

一方、ビルトイン型のコンロは、 水まわり設備メーカーのシステムキッチンに組み込まれて販売されています。
キッチンと一体になっているため、スッキリとした印象を与え、据え置き型に比べて、お手入れ手間がかからないのが特徴です。
ビルトイン型のコンロには、最新の技術を搭載しているものが多く、性能や機能などの違いによるバリエーションが豊富です。
水まわり設備メーカー側がそれぞれの価格帯を設定しており、キッチン選定の中で予算に合ったコンロを選択することができます。

 

熱源のカテゴリに含まれるガスと電気は、皆さま よくご存じですよね。

一般の家庭では、これまでガスを熱源とする時代が長く続いてきました。

電気を熱源とするIHクッキングヒーターの登場は、卓上タイプから始まったそうです。
ビルトインタイプが発売されたのは、今から20年近く前のことですが、世の中的にはガスが主流の時代でしたので、相当なアウェイ感があったのではないかと思います。

その後、2011年3月の東日本大震災後の低迷期を乗り越え、昨今のオール電化住宅の広まりや、高齢者の安全に対する備えとしてのIHにスポットが当たり、熱源として誰もが身近に感じる存在になりました。

キッチンを新しく購入されたお客様のお宅に伺っても、IHが確実に普及していることを実感します。

 

ガス・IH
それぞれの特徴

ガスコンロとIHクッキングヒーター、それぞれの特徴について簡単にご紹介しておきたいと思います。

ガスを熱源とするガスコンロの最大の特徴は、炎の状態を目で確かめながら火力調整できることです。

長年にわたりガスコンロを愛用してきたシニア世代の中には、「ガスを使い慣れているし、ガスは直接目で確認できるから安心!」という方も多くいらっしゃいます。

そして、高火力の直火調理でしか味わえない、調理メニューもあります。

さらに、中華料理の際に使う中華鍋など、ガスの方が向いているお鍋もあります。

ちなみに、 中華鍋は、丸みをおびた底形状が特徴的ですが、ガスコンロで調理した場合でも、炎の熱がお鍋の形状に沿うように伝わっていきますので、具材にきちんと火がとおります。

一方、IHは、プレートに鍋底がきちんと接することが大事ですので、底が平らなお鍋が適しています。
そのため、IHで野菜炒め物をする際は、鍋底に具材を集める方が火のとおりが速いとされています。

 

電気を熱源とするIHの最大の特徴は、何と言ってもお手入れのしやすさです。

フラットなトッププレートでお手入れのしやすさが一番の特徴。トッププレートがフラットなので、とにかくお掃除がラク!

簡単に済んでしまいます。

そして、お鍋を置くヒーターの部分以外は熱くならないので、プレートの上にレシピ本を置いて、それを見ながら調理したり、盛り付け用のお皿を仮置きしたり。
トッププレートをワープトップの一部として使えるのも、IHの特徴のひとつです。

IHクッキングヒーターは、「直接火を扱わないから安全!」と考えるシニアや、子育て世帯から、確実に支持を得ていると感じます。

 

ガス・IHのそれぞれの特徴は、メリット、デメリットも含めて表裏一体であることが多いです。
そのため、この記事の中でご紹介する内容は、ここまでとさせていただきたいと思います。

 

最新ビルトインコンロ

最近の水まわり設備は、進化のスピードが速いです。

そして、そのような水まわり設備に設置される、ビルトインコンロもまた、進化のスピードが速く、時として目を見張るものがあります。

個人的には、熱源の違いによる、良い意味でのメーカー間の競争が、技術のさらなる進化につながり、私たちに恩恵をもたらしてくれている、そのように感じます。

さまざまな自動調理メニューや、グリル機能の充実は、もはや当たり前化しています。

そして、デザイン面でも、凹凸の少ないスッキリとした印象で、清掃性の良いものが多く見られます。

 

新しくキッチンを購入されたお客様のお宅に伺ってご説明をしていると、ガスコンロはガスコンロなりに、IHはIHなりに、それぞれのお客様からご反応があって、双方の違いを改めて実感することができます。

 

最新のガスコンロの機能で、お客様からのご反応が多いのは、「自動炊飯機能」です。

「ごはん」と表示されているのが自動炊飯メニュー。その他にも、自動でおかゆを炊ける機能もあります。

ご説明の際に、「自動でご飯が炊ける」機能があることをお伝えすると、多くのお客様が笑顔になります。

ただ、そのあと、(機種によっては)
お使いいただけるお鍋に制約があることをお伝えすると、たいていは少しガッカリしたような表情になります。

現在の自動炊飯機能では、上位機種以外は土鍋が使えないからです。

皆さん土鍋でご飯を炊きたいんです!

今後の改良に期待したいと思います。

 

一方、IHクッキングヒーターでは、グリルに「クリーニング(もしくは「お手入れ」)機能」が付いたタイプが多く見られます。

こちらの機能についても、一瞬笑顔になるお客様が結構いらっしゃいます。

グリルの操作パネルに設置されていて、グリル内のニオイを軽減するために使用します。

ただ、具体的な使い方をお伝えしていくと、たいていは少しガッカリしたような表情になります。

今どきの主婦の方は、皆さんお忙しいんです!

そのため、「クリーニング機能」と聞くと、即座に「自動でお掃除してくれる機能?」と思われてしまうのです。

ちなみに、「クリーニング機能」は、グリル内を高温にすることで油汚れを乾燥させ、ニオイをやわらげるという機能です。

この「クリーニング機能」についても、いつか「自動クリーニング機能」になる日が来ることを、楽しみに待ちたいと思います。

 

キッチンを新しく購入されたお客様のお宅に伺うたび、コンロの機能性や操作性の進化はもちろん、清掃性に至るまで様々な工夫が重ねられ、商品に反映されていることを実感します。

ただ、実際にお客様と接していると、お客様の期待値は、それをさらに上回っているようにも感じます。

 

最近気になるコンロ

右側がIH部分です。手前左側のダイヤルでガスコンロの火力調整、その右側にはIH画面が出ます。

最近、ハイブリッドコンロなるものがとても気になります。

ガスの直火と、IHの機能性をひとつのプレートにまとめ、両方同時に使える 欲張りコンロです!

ちなみに、ガス 1口、IH 2口の 合計 3口コンロです。

 

それぞれの調理メニューに最適な熱源を選択し、使い分けることができるのが魅力です。

グリル機能は、ガス?  それともIH?
気になりましたが、メーカーの方いわく、
「グリルは付いていません!」

お魚などを焼くときは、トッププレートのIHの部分に、グリルパンを置いて使うという設定です。

グリルのお手入れ手間を気にされるお客様が多いなか、「いっそのことグリルをなくてしまおう!」という考えは、とても斬新な気がします。

このハイブリッドコンロの登場によって、「熱源に合わせて調理する」の時代から、「メニューに合わせて熱源を選び調理する」時代へと移り変わっていくのでしょうか?

今後の展開に注目です!

 

 ながく選ばれ続けるために

メニューの表示は液晶画面に出てきます。

お客様の中には、キッチンを新しくされるのを機にガスコンロからIHに切り替える、という方がいらっしゃいます。

特にシニア世帯では、安全面を理由にIHを選ばれるお客様が目立ちます。

 

以前ご説明にお伺いしたシニアのお客様は、とてもシンプルな機能のIHを選んでいらっしゃいました。

少し珍しいケースでしたので、お客様に理由をお尋ねしてみたところ、次のような答えが返ってきました。

「高齢の母がいるので、安全面を優先してIHに決めました。でも、これまでガスコンロしか使ったことがなかったので、IHを使いこなせるか不安で。だから、極力機能の少ないベーシックなタイプを選びました。」

 

IHに限ったことではありませんが、多くの水まわり商品は上位機種になればなるほど高機能で、かつ多機能化されています。
そして、お手入れのしやすいものがほとんどです。

ただ、ベーシックな機種を見たときに、機能性もさることながら、操作性、清掃性といった面ではかなりの落差を感じます。

 

その差が価格に反映しているのですが、今回のお客様が求めていたのは、お財布へのやさしさではなく、分かりやすさや使いやすさといった「ヒトへのやさしさ」でした。

 

上位機種を選択されるお客様の多くは、「こんなにたくさんの機能、使いこなせるかしら」といった不安や、「慣れるまでに時間がかかりそう」といった悩みを抱えているのが事実です。

 

ながく選ばれ続けている商品を観察していると、たとえ機能はシンプルであっても、操作がしやすく、使用者への配慮がなされた商品、という共通点が浮かび上がります。

技術の進化によって、私たちの暮らしが便利で豊かになることは、とてもありがたいことです。

ですが、今後、社会全体の高齢化がますます進むことを考えたとき、今のままでよいのかどうか、正直疑問が残ります。

 

日々お客様と接している立場から供給者側と需要者側の双方を見比べたとき、いささか温度差があるように感じます。

その温度差を少しでも解消できるよう、それぞれを結ぶ「かけ橋」としての役割を、これからも担っていきたいと思います。

最後までお読みくださりありがとうございました。

(写真;クリナップ・キッチンタウン・東京)

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